ワード人狼(ワードウルフ)、というパーティーゲームがある。
ワード人狼とは何か
ワード人狼は、「マジョリティが、隠れたマイノリティを当てるゲーム」。
ゲームの進み方はこうだ(知っている人は、読み飛ばして大丈夫)。
①1-2人を除いた参加者全員に、ある単語・フレーズ(お題)が与えられる。
たとえばここに、A, B, C, Dの4人がいるとしよう。A, B, Cには「東京ディズニーランド」が与えられて、Dには「羽田空港」が与えられる。ただし、A, B, C, Dには互いのお題がわからない。
②4人は、お題について話し合う
ただし、ここで「自分のお題はディズニーランド/羽田空港」などと言ってしまうと、負けにつながる(後述)。
③マイノリティだと思う人を、一斉に指差す。
このときもっとも票を獲得した人によって、結末が変わる。
- もしDが差された場合:A, B, Cのお題を当てられたら、Dの勝ち。できなければ負け。
- もしA, B, Cが差された場合:A, B, Cの負け(Dの勝ち)
ワード人狼に似ている、日常生活の場面
ワード人狼で時折起こることとして、「マイノリティがあまりにも堂々としているせいで、マジョリティ側の複数人が『あれ? 自分がマイノリティかも』と思い込んでマイノリティに話を合わせる」ことがある。
つまり、マイノリティがいつの間にかマジョリティのようになることがある。(当然、こうなったらマイノリティが負けることはほぼない)
これは実生活でもまあまあ見られる光景だ。
僕がゼミ合宿に行ったときのこと。部屋が一緒になった2人のうち1人が、何かしらの会話の流れで「最近はLGBTとか色々うるさいけど…」とLGBTについて(≒ゲイについて)否定的なことを言い出したのだ。するともう1人もそれに同調し始めた。
これはまさにワード人狼状態に近い。僕がここで同調しておけば、マイノリティとしては見られない。指を差されることもない。
しかし逆に、「別にLGBTがうるさいとかなくない?」とか「いや、僕ゲイだけど」と堂々と言い出すと、逆に今度は形勢逆転できたりする。「あれ? 俺の考えのほうがおかしいのかな」と思わせられるから。
実際に意見をもっている人のほうが少ない?
上の場面だと、おそらく同調した子はLGBTに関してそこまで意見をもっていなかったんじゃないかと思う。ただ単純に「堂々としている意見」に引っ張られて、その場しのぎ的に同調しただけで。
そういう、「目立った意見に、付き合い上とりあえず同調する」みたいなことはよくあると思う。でも、そこで逆に「目立った意見に、別の目立った意見を堂々とぶつける」ことができると、他に人が流されるのも防げたりするんじゃないかな、と思う、今日この頃。
(※たぶんこれ全部、「多元的無知」のひとことで済むんですけどね)