お風呂カフェに行きました。めっちゃ良かったです。みんなすばるです。
さて、今回はホモフォビアのお話。
とくに、「ホモフォビアをもつ人は隠れた被害者かもしれない」ということについて。
ホモフォビアとは、同性愛や同性愛者への嫌悪のこと。LGBT嫌悪の一種。
同性愛者への差別・暴力・いじめなどの原因になる。
「え、ホモフォビアをもつ人って加害者じゃないの?」
と思われる方もいるでしょう。
ところが、そう簡単ではないのです。今回はその点について、掘り下げてみます。
加害者も、被害者?
とある講義を、半分上の空で 聴いていました。
すると、ちょっと興味深い概念が紹介されたのです。
「加害者のもつ被害者性」
つまり、「被害者であるがために加害者になってしまう」、という状態です。
たとえば、過去にひどい虐待を受けていた子どもが破滅的な衝動に駆られて他人を傷つけてしまう、というアレです。
これを聞いたぼくは、「ホモフォビアじゃん」と思いました。
ゲイを差別するのは、ゲイ自身だ
ホモフォビアに関する、とある面白い実験があります。
その実験の結果によると、同性に強く惹かれる人のほうがホモフォビック(=同性愛嫌悪的)になりやすい、というのです。
この実験を行ったエセックス大学のWeinsteinは、次のように言います。
異性愛者と自認するが、心理テストにおいて同性に強く魅力を感じていると出る人々は、ゲイやレズビアンに脅威を感じている可能性がある。なぜなら、自らの中にある似た性向を思い出させられるからである。
Is Some Homophobia Self-phobia? より(翻訳はみんなすばる)
その共同研究者であったRyanは、このように付け加えます。
多くの場合、このような人たちはじぶんと戦っており、その内的な葛藤を外に転化している
(同上)
そのほか、同性に強い性的関心があると心理テストでは出ているのに異性愛者であると自認する人ほど、ホモフォビアの度合いが高い、という結果も出ています。
つまり、「じぶんはゲイかもしれない」「レズビアンかもしれない」と思ういっぽうで「じぶんはそんなんじゃない」と思う人ほど、ゲイの人やレズビアンの人を嫌うのです。
「同性愛は悪だ」と刷り込まれてきたその人は、自分自身が「悪」になることを許せず、隠すためにホモフォビアに走ってしまう、というわけです。
このことから、「やっぱりホモフォビアをもつ人も被害者なんじゃないの?」と思いました。
同性に強く惹かれるが、それに強く葛藤する人ほどホモフォビックになりやすい
※なお、実験の詳細は次の論文を参照。
Weinstein, N., Ryan, W. S., DeHaan, C. R., Przybylski, A. K., Legate, N., & Ryan, R. M. (2012). Parental autonomy support and discrepancies between implicit and explicit sexual identities: Dynamics of self-acceptance and defense. Journal of Personality and Social Psychology, 102(4), 815-832.
疑いの目をそらす「スケープゴート・ホモフォビア」
「ゲイを叩いて批判しまくる人が、まさかゲイだなんて」
この心理を逆手に取って「ホモフォビアを露わにして、疑われないようにしよう」というのが、上のような「スケープゴート・ホモフォビア」です。
(名前は勝手につけました)
これによって「あなたはゲイじゃないの?」という疑いから逃れられます。
ホモフォビアは、「お前はゲイなんじゃないのか?」という疑いの目から逃れるために使われることもある。
ホモフォビアは嫉妬なのか?
「優等生が不良に嫉妬している」、という構図もあるかもしれません。
同性愛を悪いものだとして必死に隠してきた人は、言ってみれば「優等生」です。
並々ならぬ努力で同性愛を出さないようにしているのに、「優等生」になろうとしないで生きている「同族」を見るのは「優等生として頑張っている自分の存在意義がなくなってしまう」と感じてしまうのかもしれません。
もちろん、これは上の実験からの推測に過ぎませんが。
まとめ
以上のように、ホモフォビアは「加害者-被害者」だけではなく、「〈被害者=加害者〉-被害者」という複雑な関係を持っているかもしれません。
いずれにせよ、誰も被害者にならないような、そんな社会になればいいなと思う次第です。
なお、この記事は講義の課題レポートを改変したものです。
べつに剽窃したわけじゃないので、教授、そこはよろしく頼みます。
以上、みんなすばるでした。
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