「あのときに価値観が変わったな」というわかりやすい瞬間は、僕にはまだない。
どちらかというと、「僕」という溶液に「他人の考え」が何滴か垂らされて、いつの間にかすこしpHが変わっていた、みたいな、ゆっくりとしたプロセスで価値観は変わっていった。
そして振り返ってみると、そういう価値観の変容は本にもたらされたことが多い。
そこで今回は、いつの間にか「僕」に混ざり込んでしまった本、「僕の価値観に影響を与えた4冊の本」を紹介する。
- 『ギヴァー 記憶を注ぐ者』
- 『ライ麦畑でつかまえて』
- 『ボクの彼氏はどこにいる?』
- 『年収90万円で東京ハッピーライフ』
『ギヴァー 記憶を注ぐ者』
『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のあらすじ
主人公はもうすぐ一二歳になる少年、ジョナス。彼の住むコミュニティは、いっさいの苦痛も不便もなく、とても安全・平穏で、まさしく理想郷。まもなく12月、すべての子どもが職業を授けられる「12歳の儀式」の日が訪れ、ジョナスはコミュニティでただ一人の「記憶の器」【レシーヴァー】に任命されるのだが……。
(Amazonのあらすじを元に作成)
『ギヴァー 記憶を注ぐ者』に何をつきつけられたのか
僕がこの小説を読んだのは、中学1年生のとき。
不気味に調和の取れた世界、そんな世界に疑問を抱き始めるジョナス。どこか遠い話のようで、もしかすると現実の僕達でもあるのかも……。
『ギヴァー』のちょっとした「ひねり」がきっかけで「そんな世界だったのか!」とびっくりさせられ、僕は「自分のいる世界」を疑うことを知った。
伊藤計劃の『ハーモニー』やハクスリーの『すばらしい新世界』と通じるものがあるが、その原体験は僕の中では『ギヴァー』だ。
『ライ麦畑でつかまえて』
『ライ麦畑でつかまえて』のあらすじ
インチキ野郎は大嫌い! おとなの儀礼的な処世術やまやかしに反発し、虚栄と悪の華に飾られた巨大な人工都市ニューヨークの街を、たったひとりでさまよいつづける16歳の少年の目に映じたものは何か? 病める高度文明社会への辛辣な批判を秘めて若い世代の共感を呼ぶ永遠のベストセラー。
(Amazonより)
『ライ麦畑でつかまえて』に何をつきつけられたのか
僕が『ライ麦畑でつかまえて』を最初に読んだのは中二のときだった。しかし、その良さに気づくのは中三・高校生になってから。「大人になる」ということは「インチキさをまとうこと」かもしれない、と気づき始めた頃だ。
不思議なことに、僕は年を重ねれば重ねるほどホールデンに共感する。いや、憧れているだけなのかもしれない。よくわからない。
けれど、よくわかっていることは、ホールデンが僕を「大人になること」から引き止めてくれている、ということだ。「大人にならなくてもいいのかもしれない」、と。
『ボクの彼氏はどこにいる?』
『ボクの彼氏はどこにいる?』の概要
平成31年3月現在、立憲民主党所属の豊島区議会議員の石川大我さんが2002年に出した本。
「アイドルの女の子を好きなふりをしたり、気になる男子の名を寝言で呼んだらどうしようと修学旅行で眠れなかったり――著者がゲイであることに悩み、認め、周りにカミングアウトしていく、さわやかで感動を呼ぶ青春記。」(Amazonより)
『ボクの彼氏はどこにいる?』に何をつきつけられたのか
「自分はゲイなんだ……どう生きればいいんだろう……」と悩んでいた僕にとって、この本との出会いはすべての始まりだった。「あ、同じように悩んできた人がいるんだ。それでも、こんなに楽しそうにしているんだ」、そういうふうに自分に希望をもたせてくれた一冊。
『年収90万円で東京ハッピーライフ』
『年収90万円で東京ハッピーライフ』の概要
年収90万円で東京に暮らす著者が、その暮らし方・人生論・仕事論を語っている本。ちなみに一応ゲイでもあり、「LGBT論(?)」も語っている。
(Amazonより)
『年収90万円で東京ハッピーライフ』に何をつきつけられたのか
「豊かに暮らす」と言った時に真っ先に思いつくのは、「年収が高い」ということだろう。かくいう僕もそうだった、この本に出会うまでは。
著者の大原扁理さんの考え方のなかに、「世間の目」というものはない。「自分はどうしたいのか?」と徹底して突き詰めているように感じた。
そうすると、大事になってくるのはお金よりも何よりも、まずは自分の想い・欲求を知ることなんだ、そして嫌なことはどうせ続けてもしょうがないのだ、という境地に達する。
まとめ
今回紹介したのは、次の4冊。
- 『ギヴァー 記憶を注ぐ者』
- 『ライ麦畑でつかまえて』
- 『ボクの彼氏はどこにいる?』
- 『年収90万円で東京ハッピーライフ』
ちなみに、『ボクの彼氏はどこにいる?』と『年収90万円で東京ハッピーライフ』はKindle版でちょっとお得に読めます。
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