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絶対おすすめ!次世代青春マンガ『青のフラッグ』の魅力を徹底解説してみた。【ゲイは読むべし】

 

この記事は、『青のフラッグ』のネタバレを含みます。
ご注意ください。

 

1日1回、何もないところでつまずくのが特技。みんなすばるです。

さて、皆さんは『青のフラッグ』というマンガ作品をご存知ですか?

読んだことある人にはわかるはずですが、この『青のフラッグ』、やばい。

ほんとうにすごい。

ツイッターでの意見をいくつか拾ってみます。

この人たちのツイートは誇張じゃありません。

『青のフラッグ』は、まさに次世代青春マンガなのです。

  • 表現力
  • キャラクター
  • テーマへの真摯さ
  • 目新しいテーマ

これらに圧倒されます。

それなのに、意外と知られていない。これはあまりにもったいない!!

これは、あまりにも、もったいない!!(2度目)

そういうわけで、今回は次世代青春マンガ、『青のフラッグ』を紹介します!!

 

『青のフラッグ』とは?


『青のフラッグ』
は、KAITOさん作の青春マンガ。

KAITOさんは、『青のフラッグ』のほかに『クロス・マネジ』と『バディストライク』をジャンプコミックスから発表しています。

そんな『青のフラッグ』第1巻の紹介文は、こんな感じです。

人生の岐路に立つ高3の春──。一ノ瀬太一は、なぜか苦手と感じる空勢二葉、幼馴染でリア充な三田桃真の2人と同じクラスになる。ある日、二葉から桃真への恋心を打ち明けられ、協力してほしいと頼まれた太一は…!? 青春に染まりゆく3人の新“純”愛物語、開幕!!

 

メインキャラクター(1巻)

1巻でのメインキャラクターは、次の3人。

1. 一ノ瀬 太一(いちのせ たいち)

このマンガの主人公。帰宅部。「非リア」グループの子たちとつるむ高校3年生。

 

2. 空勢 二葉(くぜ ふたば)

このマンガのヒロイン。園芸部。

おっちょこちょいで消極的な性格。三田 桃真に想いを寄せるようになり……。

 

3. 三田 桃真(みた とうま、トーマ)

野球部の主将をつとめる、身長189cmのイケメン。

女子にモテモテ。いわゆる「リア充」グループの高校3年生。

 

メインストーリー(1巻)

大枠としては、「空勢 二葉 →♥→ 三田 桃真」の片思いが展開します。

しかし、これをただの青春物語で終わらせない。

それが、『青のフラッグ』の揺るぎない魅力なのです。

 

『青のフラッグ』の魅力

魅力その1:表現力

『青のフラッグ』は、圧倒的な表現力でキャラたちの感情を鮮烈に描き出します。

たとえば、『青のフラッグ』第3巻での太一と空勢二葉の会話。

この「沈黙」の入れ方がほんとうに効果的ですごい。

 

ほかにも、『青のフラッグ』第4巻から。

トーマは、あることを言い出せない……。

そのやるせなさ、迷い、不安。台詞なしの感情が、人物の一挙手一投足をもって繊細に描かれています。

 

魅力その2:魅力的なキャラクター

出てくるキャラクターたち、みんな愛しい。ほんとうに例外なく。

太一も、空勢二葉も、トーマも、そして途中からクローズアップされる伊達 真澄(いたち ますみ)も、みんな何かを抱えて生きています。

その抱えているものがストーリーと絡まって、その魅力をより一層引き立てるのです。

ちなみに、ぼくは『青のフラッグ』第2巻での太一がめちゃくちゃ好き。

この太一の凛々しい横顔よ……(好き)。

 

 

魅力その3:テーマとの真摯な向き合い 【ネタバレ注意】

『青のフラッグ』は、扱うテーマに対してものすごく真摯です。

1巻の盛大なネタバレですが、トーマの恋愛対象は同性の太一です。

表紙が伏線だった。

 

同様に、伊達真澄が想いを寄せる相手は、空勢二葉です。

図示すると、こういうことになります。

完璧な三角関係。 (とある考察によれば、この構図の形がフラッグ=『青のフラッグ』にちなんでいるかも?)

マンガによっては、同性を好きになるキャラクターが出てくると、

  • 「気の迷い」「ホモかよw」と茶化す
  • 「これはゲイとかじゃなくて、ただ〇〇が好きなだけだ」
  • 同性を好きになるキャラクターを、過度に女性的に描く

といった扱いをしてしまいます。

しかし『青のフラッグ』は同性を好きになることを茶化しません。

すべての想いを、徹底的にイコールに描きます。

そして全部、ひとつの真面目な問題として扱うのです。

この記事で安藤エヌさんのおっしゃっていることが、よくわかります。


この作品で、「同性愛」は「青春」の外側にはありません。
しっかりとその、力強く優しい腕に内包され、男が男を好きになる、女が女を好きになる、それが「恋愛」であり「青春」であり、ことさら「魔法の時代の、硝子の靴が足に合わなくなる痛み」を、未来に見据えて描かれているのです。

同性愛が青春として描かれる時代がやってきた。より(太字は引用者)

 

『青のフラッグ』は、ゲイ・レズビアン・バイセクシュアルなどといった「同性を好きになりうる性的指向」の読者も没入して読めるような作品になっているのです。

そういう意味で、『青のフラッグ』が「少年ジャンプ+」で扱われていることの意義は大きいかもしれませんね。

『青のフラッグ』はきっと、LGBTに"だけ"言及したいわけじゃない。(※※ この記事には、『青のフラッグ』のネタバレが含まれます ※※) ポッドキャスト始めます。みんなすばるです。 さて、以前に「次世...

 

(追記 2018/12/20、【ネタバレ注意】

2018/12/19、第39話が更新されました。

そのなかの1ページに、LGBTの話題にかなり接近したシーンがありました。というかまるまる1話、ほとんどその話題です。

ジャンプ系の漫画で、まさか「性的指向」と「性的嗜好」が英語併記(sexual orientation / sexual preference)で載るとは思いませんでした。

しかも亜希子姉さん、めちゃくちゃためになることを言っています。
これを見て確信しました。作者のKAITOさんは「「「「わかっている」」」」と。

そんなわけで、『青のフラッグ』への期待は更に上がったのでした。

追記 2019/02/13【ネタバレ注意】

2019/02/13に更新された41話で、ついにトーマの想いが直接的に明かされました。
紆余曲折を経て、太一に想いを伝えることにしたトーマ。

太一 好きだ オレは太一のことがずっと好きだった

このようにはっきりと言及するのは、この漫画でははじめてのこと。
また同時に、周囲の噂話のなかで「同性愛への偏見」もはっきり描写されました。

ここから正面切って同性愛を真面目に取り上げた後、どのような展開に向かうのか……。
目が離せません。

 

(追記 2018/08/23、魅力その4)

魅力その4:ジェンダーという問題への意識 【ネタバレ注意】

『青のフラッグ』は、女性が抱える苦悩にも目を向けます。

八木原マミという「男たらし」らしきキャラクターがいるのですが、彼女が「男たらし」であるというのが誤解だとわかります。

その経過で、ジェンダーの問題が紐解かれていきます。

たとえば、31話で以下のようなことばを放ちます。

異性としか見られない苛立ちをマミが語る。

その後、32話と33話でもマミが自らの苦悩を語ります。

正直、マミのことは「トーマを狙いにいっている悪女」としかみていなかったので、この展開は予想外でした。

しかし読み返してみると、たしかに「マミ=悪女」説は状況証拠しかないのです。

つまり『青のフラッグ』はぼくのバイアスを突きつけてきたわけですね。『青のフラッグ』の仕掛けにまんまとはめられました。

『青のフラッグ』はどこで読める?

2018年6月現在、『青のフラッグ』第1話〜第5話と最新の話2回分が「少年ジャンプ+」で無料公開されている

このレベルのマンガを無料で読めるって、逆に心配になります(笑)

なお「第6話〜最新の話2回よりも以前のもの」は無料公開ではありません。すでに発売されている単行本を買うか、「少年ジャンプ+」アプリのコイン(課金要素)を使わないといけません><

ちなみにぼくは、表紙や帯のセンスがめちゃくちゃ好きなので断然、単行本派。

好き、ぜんぶ。

 

おわりに


『青のフラッグ』
第3回次にくるマンガ大賞:Webマンガ部門で3位を獲得しました。

そしてそれを裏切らないだけの魅力が詰まった、すごいマンガです!

未読のひとは、今からでも「少年ジャンプ+」で第1話〜第5話を読んでください。

ぶっちゃけ、第5話まで読んでハマらなかった友人をぼくは知りません。
(圧倒的バイアス)

現代の王道を行く、次世代青春マンガです。超必読。

以上、水納すばるでした。

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蛇足:個人的な考察

上を見れば分かる通り、巻数がくだるにつれて表紙から青色が消えていくんですよね……。
これって、太一たちが少しずつ「青臭さ」を失って成長している、ということの暗示なのではないでしょうか……。

そしてその「青臭さ」を失うことは、同時に「じぶんを受け入れること」「相手を知っていくこと」でもある。
つまり、太一たちは少しずつ「じぶんを受け入れる」「相手を知っていく」という方向でストーリーを展開させていくのではないかとぼくは睨んでおります。

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