この記事は、『青のフラッグ』のネタバレを含みます。
ご注意ください。
1日1回、何もないところでつまずくのが特技。みんなすばるです。
さて、皆さんは『青のフラッグ』というマンガ作品をご存知ですか?
読んだことある人にはわかるはずですが、この『青のフラッグ』、やばい。
ほんとうにすごい。
ツイッターでの意見をいくつか拾ってみます。
「青のフラッグ」ってやばいな…アプリの少年ジャンプ+にあったんだけど、青春具合がやばい…
語彙力の著しい低下が起きるほどのやばさ。
ただの恋愛じゃなくて考えさせられるしついキャラに感情移入してしまう。漫画を読んで久しぶりにグッときた。#青のフラッグ— (;・∀・) (@aoHgVv8Lqk2gv0j) June 23, 2018
マンガ「青のフラッグ」読んえええぇえうええええぇぇおおぉぉおおおおああああぁぁぁぁああッーーーー!?(甘酸っぱくて苦くて辛くて衝撃的すぎて感想がまとまらない)#青のフラッグ#KAITO
— レディ・グレイサム (@painpaingetaway) June 23, 2018
みんな青のフラッグ読んで。ジャンプのアプリで連載中で、LGBTと、最近はジェンダー問題まで考えさせる恐ろしい青春漫画なの。読んで。#青のフラッグ pic.twitter.com/tdFzxhFAgI
— taeminism (@213TMpark) June 15, 2018
この人たちのツイートは誇張じゃありません。
『青のフラッグ』は、まさに次世代青春マンガなのです。
- 表現力
- キャラクター
- テーマへの真摯さ
- 目新しいテーマ
これらに圧倒されます。
それなのに、意外と知られていない。これはあまりにもったいない!!
これは、あまりにも、もったいない!!(2度目)
そういうわけで、今回は次世代青春マンガ、『青のフラッグ』を紹介します!!
『青のフラッグ』とは?
『青のフラッグ』は、KAITOさん作の青春マンガ。
KAITOさんは、『青のフラッグ』のほかに『クロス・マネジ』と『バディストライク』をジャンプコミックスから発表しています。
そんな『青のフラッグ』第1巻の紹介文は、こんな感じです。
人生の岐路に立つ高3の春──。一ノ瀬太一は、なぜか苦手と感じる空勢二葉、幼馴染でリア充な三田桃真の2人と同じクラスになる。ある日、二葉から桃真への恋心を打ち明けられ、協力してほしいと頼まれた太一は…!? 青春に染まりゆく3人の新“純”愛物語、開幕!!
メインキャラクター(1巻)
1巻でのメインキャラクターは、次の3人。
1. 一ノ瀬 太一(いちのせ たいち)
このマンガの主人公。帰宅部。「非リア」グループの子たちとつるむ高校3年生。
2. 空勢 二葉(くぜ ふたば)
このマンガのヒロイン。園芸部。
おっちょこちょいで消極的な性格。三田 桃真に想いを寄せるようになり……。
3. 三田 桃真(みた とうま、トーマ)
野球部の主将をつとめる、身長189cmのイケメン。
女子にモテモテ。いわゆる「リア充」グループの高校3年生。
メインストーリー(1巻)
大枠としては、「空勢 二葉 →♥→ 三田 桃真」の片思いが展開します。
しかし、これをただの青春物語で終わらせない。
それが、『青のフラッグ』の揺るぎない魅力なのです。
『青のフラッグ』の魅力
魅力その1:表現力
『青のフラッグ』は、圧倒的な表現力でキャラたちの感情を鮮烈に描き出します。
たとえば、『青のフラッグ』第3巻での太一と空勢二葉の会話。
ほかにも、『青のフラッグ』第4巻から。
トーマは、あることを言い出せない……。
そのやるせなさ、迷い、不安。台詞なしの感情が、人物の一挙手一投足をもって繊細に描かれています。
魅力その2:魅力的なキャラクター
出てくるキャラクターたち、みんな愛しい。ほんとうに例外なく。
太一も、空勢二葉も、トーマも、そして途中からクローズアップされる伊達 真澄(いたち ますみ)も、みんな何かを抱えて生きています。
その抱えているものがストーリーと絡まって、その魅力をより一層引き立てるのです。
ちなみに、ぼくは『青のフラッグ』第2巻での太一がめちゃくちゃ好き。
魅力その3:テーマとの真摯な向き合い 【ネタバレ注意】
『青のフラッグ』は、扱うテーマに対してものすごく真摯です。
1巻の盛大なネタバレですが、トーマの恋愛対象は同性の太一です。
同様に、伊達真澄が想いを寄せる相手は、空勢二葉です。
図示すると、こういうことになります。
マンガによっては、同性を好きになるキャラクターが出てくると、
- 「気の迷い」「ホモかよw」と茶化す
- 「これはゲイとかじゃなくて、ただ〇〇が好きなだけだ」
- 同性を好きになるキャラクターを、過度に女性的に描く
といった扱いをしてしまいます。
しかし『青のフラッグ』は同性を好きになることを茶化しません。
すべての想いを、徹底的にイコールに描きます。
そして全部、ひとつの真面目な問題として扱うのです。
この記事で安藤エヌさんのおっしゃっていることが、よくわかります。
この作品で、「同性愛」は「青春」の外側にはありません。しっかりとその、力強く優しい腕に内包され、男が男を好きになる、女が女を好きになる、それが「恋愛」であり「青春」であり、ことさら「魔法の時代の、硝子の靴が足に合わなくなる痛み」を、未来に見据えて描かれているのです。同性愛が青春として描かれる時代がやってきた。より(太字は引用者)
『青のフラッグ』は、ゲイ・レズビアン・バイセクシュアルなどといった「同性を好きになりうる性的指向」の読者も没入して読めるような作品になっているのです。
そういう意味で、『青のフラッグ』が「少年ジャンプ+」で扱われていることの意義は大きいかもしれませんね。
(追記 2018/12/20、【ネタバレ注意】)
2018/12/19、第39話が更新されました。
そのなかの1ページに、LGBTの話題にかなり接近したシーンがありました。というかまるまる1話、ほとんどその話題です。
ジャンプ系の漫画で、まさか「性的指向」と「性的嗜好」が英語併記(sexual orientation / sexual preference)で載るとは思いませんでした。
しかも亜希子姉さん、めちゃくちゃためになることを言っています。
これを見て確信しました。作者のKAITOさんは「「「「わかっている」」」」と。
そんなわけで、『青のフラッグ』への期待は更に上がったのでした。
(追記 2019/02/13【ネタバレ注意】)
2019/02/13に更新された41話で、ついにトーマの想いが直接的に明かされました。
紆余曲折を経て、太一に想いを伝えることにしたトーマ。
「太一 好きだ オレは太一のことがずっと好きだった」
このようにはっきりと言及するのは、この漫画でははじめてのこと。
また同時に、周囲の噂話のなかで「同性愛への偏見」もはっきり描写されました。
ここから正面切って同性愛を真面目に取り上げた後、どのような展開に向かうのか……。
目が離せません。
(追記 2018/08/23、魅力その4)
魅力その4:ジェンダーという問題への意識 【ネタバレ注意】
『青のフラッグ』は、女性が抱える苦悩にも目を向けます。
八木原マミという「男たらし」らしきキャラクターがいるのですが、彼女が「男たらし」であるというのが誤解だとわかります。
その経過で、ジェンダーの問題が紐解かれていきます。
たとえば、31話で以下のようなことばを放ちます。
その後、32話と33話でもマミが自らの苦悩を語ります。
正直、マミのことは「トーマを狙いにいっている悪女」としかみていなかったので、この展開は予想外でした。
しかし読み返してみると、たしかに「マミ=悪女」説は状況証拠しかないのです。
つまり『青のフラッグ』はぼくのバイアスを突きつけてきたわけですね。『青のフラッグ』の仕掛けにまんまとはめられました。
『青のフラッグ』はどこで読める?
2018年6月現在、『青のフラッグ』第1話〜第5話と最新の話2回分が「少年ジャンプ+」で無料公開されている。
このレベルのマンガを無料で読めるって、逆に心配になります(笑)
なお「第6話〜最新の話2回よりも以前のもの」は無料公開ではありません。すでに発売されている単行本を買うか、「少年ジャンプ+」アプリのコイン(課金要素)を使わないといけません><
ちなみにぼくは、表紙や帯のセンスがめちゃくちゃ好きなので断然、単行本派。
おわりに
『青のフラッグ』は第3回次にくるマンガ大賞:Webマンガ部門で3位を獲得しました。
そしてそれを裏切らないだけの魅力が詰まった、すごいマンガです!
未読のひとは、今からでも「少年ジャンプ+」で第1話〜第5話を読んでください。
ぶっちゃけ、第5話まで読んでハマらなかった友人をぼくは知りません。
(圧倒的バイアス)
現代の王道を行く、次世代青春マンガです。超必読。

以上、水納すばるでした。
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蛇足:個人的な考察
上を見れば分かる通り、巻数がくだるにつれて表紙から青色が消えていくんですよね……。
これって、太一たちが少しずつ「青臭さ」を失って成長している、ということの暗示なのではないでしょうか……。
そしてその「青臭さ」を失うことは、同時に「じぶんを受け入れること」「相手を知っていくこと」でもある。
つまり、太一たちは少しずつ「じぶんを受け入れる」「相手を知っていく」という方向でストーリーを展開させていくのではないかとぼくは睨んでおります。