本・漫画

ゲイ東大生が選ぶ、2019年読んでよかった本・マンガ16冊

2019年に読んだ僕のおすすめ本まとめ

僕が2019年に読んだ、良かった本。

※2019年発売ではない本も含まれています。

 

ノンフィクション

『年収90万円で東京ハッピーライフ』

○概要
「年収90万円で、誰よりもハッピーに暮らす方法(しかも東京で)。」(アマゾンより)
年収90万円で東京に暮らす著者の実際の生活・家の決め方・人生観や価値観が、ライトな文体で書かれている。

○感想
「平均年収は400万円」「就活で失敗すれば生きていけない」とすり込まれてきた。でも、お金がぜんぜん稼げなくなってもどうにかなる、その先例を知って勇気をもらえた。ちなみに作者もゲイで、そこにも親近感を覚えた。

>>僕の価値観に影響を与えた4冊の本まとめ

 

『苦しかったときの話をしようか』

○概要
「年間集客が約700万人まで減少し、このままでは倒産確実といわれていたUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を、年間約1500万人のテーマパークへ再生させた稀代のマーケター、森岡毅。彼は大学生になった我が子のために、就活・昇進・転職・起業などキャリア形成について書きためていたプライベートな文書があった」(アマゾンより)

○感想
就活前に読んでおくと良いと言われて読んでみた本。定期的に読み返してみたくなる。

>>【就活前に読みたい】『苦しかったときの話をしようか』

 

『社会学用語図鑑』

○概要
「累計13万部のベストセラー『哲学用語図鑑』『続・哲学用語図鑑』の著者が、社会学の300以上の主要用語と75人以上の社会学者を徹底図解!」(アマゾンより)

○感想
この本、社会学の大学院の試験対策として使う人もいるのだとか(笑)
社会学の難解な概念もわかりやすく解説されていて、ちょっとわかった気になれる。

社会学が気になっているけど、何から手を付ければいいのかわからない」という人におすすめできる。

 

『はじめて学ぶLGBT』

○概要
LGBTにまつわる基礎的な知識を、はじめて学ぶ人にも理解しやすいようにまとめた書籍です。「性自認」「性的指向」といった基本的な用語解説のほか、カミングアウトや学校教育、当事者の健康、法律上の問題、自治体の取り組み、市民生活など、さまざまなアプローチからLGBTについて論じています。(アマゾンより)

○感想
今までの「LGBT入門本」ではあまり取り上げられなかったトピック(広告代理店のLGBT人口調査・LGBTサークルなど)も扱っていて興味深かった。

多くのトピックが見開き1ページで簡潔にまとめられていて、かなり網羅的な一冊だと思った。

>>『はじめて学ぶLGBT』初学者にも当事者にもおすすめ! 5つの理由

 

『SAVE THE CATの法則:本当に売れる脚本術』

○概要
「小難しい脚本術の分析書はいらない。シンプルで、しかも本当に大手映画会社が買ってくれる脚本を書くための最低限のコツを教えてくれ!」。本書は、プロにも素人にも役立つこと間違いなしの、売れっ子脚本家による脚本マニュアルです。(・・・)

この業界で勝負するならホームランを狙うのが当たり前!  インディーズ映画ももちろんすばらしいですが、メジャーな市場で大ヒットを飛ばしたいあなたのための超実践的な脚本術です。(アマゾンより)

○感想
どの時点でどのような展開にするか、超具体的に(実例を交えながら)説明していた。実は僕も、この本を参考に脚本を書いてみた。実際に運用すると、なかなか思うようにいかないのが大変だったが……。

>>『SAVE THE CATの法則:本当に売れる脚本術』を使って書いた、演劇『LGBT、治します。』

 

『「差別はいけない」とみんないうけれど。』

○概要
セクハラや差別が後をたたないのは、「差別はいけない」と叫ぶだけでは、解決できない問題がその背景にあるからだろう。反発・反感を手がかりにして、差別が生じる政治的・経済的・社会的な背景に迫る。「週刊読書人」論壇時評で注目の、気鋭のデビュー作。(アマゾンより)

○感想
差別に対して抗議する資格をもつのは、当事者だけなのか、全ての市民なのか。どうすれば、すべての人が納得できる「差別論」ができるのか。平易な文体で差別・ポリコレについて考えられる一冊になっていて再読不可避。

 

『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』

○概要
英国で最底辺の労働にジャーナリストが自ら就き、体験を赤裸々に報告。働いたのはアマゾンの倉庫、訪問介護、コールセンター、ウーバーのタクシー。私たちの何気ないワンクリックに翻弄される無力な労働者たちの現場から見えてきた、資本主義、管理社会の極地。グローバル企業による「ギグ・エコノミー」という名の搾取、移民労働者への現地人の不満、持つ者と持たざる者との一層の格差拡大は、我が国でも始まっている現実だ。(アマゾンより)

○感想
まず、このタイトルに惹かれてしまった。しかし、中身は辛いものだった。僕がアマゾンプライムで何かを注文するとき、誰かが搾取されているのかも知れない、と怖くなった(それでも、この利便性を手放せない)。日本ではウーバーが事実上禁止されているが、もし導入されたら、いかにしてこの本で指摘された問題点を緩和するのかが重要だと思った。

とくに、移民が雇われることで労働組合が事実上封じられてしまう、という事態は、柔軟な労働の裏にある大きな欠点だと思った。

 

『カミングアウト』

○概要
自分が性的少数者であることを、打ち明けること──
それは自己を引き受けると同時に
必然的にわたし/あなたの関係の再構築を要請する。
ときには関係の破綻に至ることを覚悟しながら、人は「告白」する。
「再-関係」をめぐる葛藤を、実例に沿って描く。(アマゾンより)

○感想
カミングアウトという、LGBTではほぼ避けて通れない話題。この本では、そんなカミングアウトについて丁寧に解説していた。著者の優しいスタンスと眼差しが随所に感じられて、当事者・非当事者にかかわらず読む価値があると思った。

 

フィクション(和書/邦訳書)

『進撃の巨人』

○概要
手足をもがれ、餌と成り果てようと、人類は巨人に挑む!! 巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の戦いが始まってしまう。――震える手で、それでもあなたはページを捲る。超大作アクション誕生! これが21世紀の王道少年漫画だ!!(アマゾンより)

○感想
前からヒットしていて気になっていたのだが、Netflixでアニメを観たら激ハマり。息をつかせないテンポの良さ、巧みな構成、設定の勝利。面白くないわけがない。

「講談社への就活を視野に入れていたのでとりあえず触れておくか」と当初は思っていたけど、この圧倒的コンテンツ力にやられてしまった。

 

『伊藤計劃トリビュート』

○概要
伊藤計劃が2009年にこの世を去ってから早くも6年。彼が『虐殺器官』『ハーモニー』などで残した鮮烈なヴィジョンは、いまや数多くの作家によって継承・凌駕されようとしている。伊藤計劃と同世代の長谷敏司、藤井太洋から、まさにその影響を受けた20代の新鋭たる柴田勝家、吉上亮まで、8作家による超巨大書き下ろしアンソロジー。(アマゾンより)

○感想
僕自身はあまりコアなSF読者ではないが、伊藤計劃の『虐殺器官』と『屍者の帝国』はめっちゃ面白いと思う。しかし、寡作で亡くなってしまったため、作品数はあまり多くない。

このアンソロジーに収録された(一部の)小説は、伊藤計劃らしさがあって良かった。僕のお気に入りは、死刑囚に最後の晩餐を与える料理人が主人公の「未明の晩餐」(吉上亮作)。高度化した技術・倫理観、そして荒廃した未来、というところに伊藤計劃っぽさがあってよかった。

 

『獣の奏者1 闘蛇編』『獣の奏者2 王獣編』

○概要
リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。(アマゾンより)

○感想
ゲイブロガーさんの誰か(忘れてしまった……)がおすすめしていたから、手にとって見た。めっちゃ面白かった。

児童文学のノーベル賞にあたる「国際アンデルセン賞作家賞」を受賞しているらしいのだが、この本は「児童文学」ではないと思う。大人でも楽しめる、というか、大人の方が楽しめるんじゃないかな。

エリンという少女の成長ストーリーかと思いきや(いや、そうではあるけど)、「政治サスペンス×ファンタジー」だった。『進撃の巨人』と似たものを感じた。

 

『晴れでも雨でも -Shiny Side-』

○概要
多摩教育大学、通称タマキョーに合格し、熊本から上京を果たした18歳の平凡な青年。
期待に胸を膨らませ、《華やかでカラフルな青春》を送る予定が、
「なあ、奇跡を信じるか?」そのたったひとことから大学生活は思わぬ方向に──?

東京での新生活、無為なモラトリアム、大人への階段、恋と友情の交錯、二度とない青い季節、その光──。
ともに歩くは、賭博中毒のトラブルメーカー、温厚篤実な元甲子園球児、そしてどこかミステリアスな眼鏡くん。
愛すべき奇妙な仲間たちと過ごす、どこまでも賑やかなわちゃわちゃキャンパスライフ!(アマゾンより)

 

○感想
ひとことで言うとしたら、この作品は「ゲイの登場人物がいる『砂漠』(伊坂幸太郎)」。扱っている題材も重くないし、文体も平易だし、気軽に読める作品。

 

『モモ』

○概要
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。(アマゾンより)

○感想
すでに散々語ってしまったが、この作品は、現代日本をせわしなく生きる人にこそ読んでほしいと思った。

「人間のために時間がある」のであって、「時間のために人間がある」わけではない。そんなことを教えてくれる作品だと思う。僕達は、「時間どろぼう」に騙されてはいないだろうか?

>>『モモ』(ミヒャエル・エンデ)は今こそ読むべきだと思った件

 

『ぼくを燃やす炎』

○概要
学校にも家にも居場所を失っていた。 たまたま好きになるのが男の子だったから。親友に募らせていた恋心を告白したことがきっかけで、オスカルは過酷ないじめに遭うようになる。

親友は思わせぶりな態度であったにもかかわらず、態度を一変し、級友たちに言いふらしたのだ。追いつめられたオスカルは自傷行為をくり返すようになる。
やがて、オスカルは強くなるために通いはじめた柔道教室で自由な価値観を持つ青年セルヒオと知り合う。(・・・)(アマゾンより)

○感想
この作品は中学生・高校生の悩めるゲイにこそ読んでほしい。

  • アウティング/いじめ/DV/自傷も扱うけど、重すぎない
  • 舞台はスペインだけどスラスラ読める
  • 主人公の恋愛がキュンキュンエチエチ
  • 訳が全然不自然じゃない
  • ハッピーエンド

 

フィクション(洋書)

ここから紹介するのは、2020/01/03現在、未邦訳の作品。

『What If It’s Us』

○概要
サイモンvs人類平等化計画』の作者ベッキー・アルバータリと、若手ゲイYA作家アダム・シルヴェラがタッグを組んで書いた、かわいいゲイ男子2人のラブコメ作品。
(もし『サイモンvs人類平等化計画』を読んだことがないのなら、読みなさい。もしくは映画を観なさい。これは命令です)

主人公は2人の少年、アーサーとベン。
アーサーは夏の間だけニューヨークに来ている、ロマンス夢見るブロードウェイファン。対するベンは、最近彼氏と別れたばかり。2人は郵便局でたまたま出会い、そして出ていく。

もし、この八百万人の都市で、二度と会うことがなかったら?
もし会えたとしても、3回の”やり直し”をしてなお、ちゃんとしたファースト・デートができなかったら?
もしアーサーが肩肘張りすぎて、ベンが乗り気じゃなかったら?
もし人生は、やっぱりブロードウェイ演劇みたいなものではなかったら?
でも、もしそうだとしたら?(アマゾンより)

 

○感想
こちらも気楽に読める作品。ゲイであることによる悩み、みたいな話ではなくて、ほぼほぼ恋愛と人間関係に悩むお話。もし、カミングアウトとか、ゲイであることへの自己嫌悪とか、そういうちょっと重めの話に胃もたれしたら、この一作を読むといいんじゃないかな。

>>【ゲイ学生が選ぶ】ゲイの中高生が今読むべき小説まとめ

 

『The Inexplicable Logic of My Life』

○概要
少年2人の友情/ブロマンス/恋愛ヤングアダルト小説『Aristotle and Dante Discover the Secrets of the Universe』(泣ける名作だから読んで)の作者による作品。

主人公サルは、ゲイの養父や、メキシカンアメリカンの親戚たちや、親友のサマンサとの付き合い方を知っているつもりだった。でも高校卒業を控えたサルは、パンチを飛ばしたり、あらゆるものに疑問を持ったり、自分の知っていた自分ではないことに気づき始める。もし自分の思っていた自分と違うなら、自分はいったい何者なの?(アマゾンより)

 

○感想
もうね、名言連発。文章も詩的で素敵なんだよなあ。

前作(Aristotle~)からそうなんだけど、人が、人の温かい部分に触れて成長していくストーリーを語るのが上手。

僕がとくに気に入ってるのセリフ3選:

  • “Everybody doesn’t love in the same way, Salvie.”
  • “Just because my love isn’t perfect doesn’t mean I don’t love you.”
  • “My father used to say, ‘Some people are born on third base, and they go through life thinking they hit a triple.'”
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